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第2回HiSoPra研究会 [学会・研究会]

先日,第2回HiSoPra研究会に行ってきました。
前半の研究発表は聞けなかったのですが,後半の野村剛史先生の
基調講演を聞けました。とても興味深かったです。
野村先生のご高著の内容が理解できました。
また,堀田さんと高田先生による英語史とドイツ語史の概説も
とても勉強になりました。
詳細は下記に添付します。

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第2回 「HiSoPra*研究会(歴史社会言語学・歴史語用論研究会)」のご案内
      HiSoPra* : HIstorical SOciolinguistics and PRAgmatics

日時:2018年3月13日(火)、13:30~18:00
場所:学習院大学 北2号館(文学部研究棟)10階、大会議室
   http://www.gakushuin.ac.jp/mejiro.html の15番の建物

総合司会:椎名美智(法政大学)、森 勇太(関西大学)

 13:30-13:40 (総合司会者による) 導入

 13:40-14:25 《研究発表》 司会:鈴木亮子(慶應義塾大学)
        岩井恵利奈(青山学院大学大学院 博士後期課程):
        「談話標識から談話構造化標識へ
        -言語的文脈と語用論的動機に着目したStillの機能発達の分析」
        (発表要旨については、本案内文の下方を参照下さい)

 14:30-15:15 《研究報告》 司会: 家入葉子(京都大学)
        中山匡美(東京大学非常勤講師):
        「19世紀イギリス小説における不定代名詞の数の一致
        -女性作家がsingular they を選ぶとき」
        (発表要旨については、本案内文の下方を参照下さい)
 
 15:30-18:00 《シンポジウム》 司会:堀江 薫(名古屋大学)
       「スタンダードの形成 ―個別言語の歴史を対照して見えてくるもの☆」

本シンポジウムは、日本語、英語、ドイツ語という3言語の歴史を対照することで各個
別言語史の研究者がそれぞれに新たな知見を得て、従来とひと味違った切り口で各個別
言語史を捉え直す契機となるのではないかという発想から企画されました。
この点をめぐって、全体討論ではフロアのみなさまと一緒にさまざまに議論できればと
思います。

        【講演】15:30-16:30
         野村剛史(東京大学名誉教授):
         「日本語におけるスタンダードの形成」

        【話題提供】16:30-17:00
         堀田隆一(慶應義塾大学):「英語史の場合」
         高田博行(学習院大学):「ドイツ語史の場合」

        【全体討論】17:00-18:00

 18:30-20:30 懇親会
       会費4000円(学生は2500円)、会場はJR目白駅すぐ
++
発表要旨)
岩井恵利奈:「談話標識から談話構造化標識へ
-言語的文脈と語用論的動機に着目したStillの機能発達の分析」

本発表は、コーパスデータを基に、語用論標識/still/の機能発達について、それが用いられる言語的文脈及び語用論的事象を考慮し分析・考察を行う。具体的には、以下3つの問題に取り組む。I) 語用論標識/still/には、談話標識(以下DM)や談話構造化標識(以下DSM)(cf. Fraser 2009)としての両用法がある。DM/still/は譲歩を表し、連結する談話断片の対照関係を示す。DSM/still/は会話展開、コメントの追加、トピック・オリエンテーション等の多様な機能を持つ。本発表では、DM/still/がDSMの用法を発達させたこと、また、DSM /still/は1930年代以降になるとその多くが談話の全体的レベルで作用するようになることを示す。II) DM /still/は、旧情報を導入する(Hirtle 1997; etc.)。特に、既に行った主張に固執する際に用いられることが多い(cf. Bell 2010)。/Still/の現れる言語的文脈(文法的・意味的・談話的特徴)や対話者間のインタラクションの観点から、Iの機能発達を考察する。III) 近年の研究(e.g., Narrog 2012; 大橋 2015)から、譲歩表現には、その間主観的な意味から談話/テキスト的な機能を派生させるという意味拡張の方向性があることが示唆される。/Still/の機能発達過程を、こうした先行研究と関連付け考察する。


中山匡美:「19世紀イギリス小説における不定代名詞の数の一致
-女性作家がsingular they を選ぶとき」

19世紀イギリスは、規範文法家の影響を強く受けていた時代であるが、必ずしも守られていなかった文法規則もあった。その一つが不定代名詞の数の一致に関するもので、当時の文法書では単数扱いとされていた不定代名詞が、実際には、“Everyone brought their bag.”のように三人称複数形theyに言い換えられることも少なくなかった。19世紀の文筆家のテキストを調査したDekeyser (1975)は、このいわゆるsingular theyの使用頻度が男性よりも女性のほうが高いことを示し、その理由として、女性はひとくくりに三人称単数男性代名詞heで表されるのを嫌ったからであろうと推測している。本発表では、このDekeyserの推測を実証的に裏付けるため、不定代名詞(everybody, everyone, anybody, anyone, somebody, someone, nobody, no one, each one, each, (n)either, none, any)の数の一致の分布を、用例の不定代名詞が示す対象の性別に着目し、当時の女性作家がどのような基準で複数呼応を選んでいたかについて調査した結果を報告したい。

参考文献
Dekeyser, Xavier. 1975. Number and Case Relations in 19th Century British English: A Comparative Study of Grammar and Usage. Antwerpen: Uitgeverij De Nederlandsche Boekhandel.

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